目次
ティップランエギングとは?

ティップランエギングは、ボートやカヤックからエギを真下に落とし、風や潮に流されながらアオリイカを狙う釣法です。繊細なアタリを感じて即座に反応する必要があり、感度の高い専用ロッドと正確な操作が求められます。ロッド選びだけでなく、しゃくり方・ステイ・アタリの取り方・合わせ方を理解することが釣果アップのカギです。
ティップランロッドの特徴とは?

●高感度のソリッドティップ
繊細なアオリイカのアタリを明確に感じるため、ロッドの先端にはカーボンソリッド素材が採用されています。この部分が水中での微細な変化をキャッチしてくれます。
●短め&軽量で操作性抜群
長さは1.8m〜2.1m程度が主流で、軽量で疲れにくく、ボート上でも快適に操作できます。
●強いバットパワーで確実なフッキング
柔らかいティップとは対照的に、バット部分はしっかりとした強さがあり、アオリイカをバラさずに確実に掛けることが可能です。
ロッドの選び方のポイント

●ロッドの長さ(レングス)

ロッドの長さは、使いやすさや釣り方に大きく関係します。
・短め(6.0〜6.6フィート)
⇒ 軽くて扱いやすく、細かい動きがしやすいです。潮の流れが弱い場所や船の動きが少ない場面にぴったり。初心者にもおすすめです。
・中間(6.8〜7.2フィート)
⇒ バランスが良く、どんな場面でも対応しやすい長さです。初めての1本ならこの長さが無難です。
・長め(7.4〜7.6フィート以上)
⇒ 遠くにエギを投げたいときや、潮流が速い場所で有利。ただし、重さも出てくるため、長時間の釣りでは疲れやすいこともあります。
●使用するエギの重さに合わせて選ぶ
一般的に30g〜45g程度のティップランエギを使います。
・ロッドに表示されている「適合エギウエイト」を必ず確認しましょう。
・使うエギの重さに合っていないロッドだと、エギがうまく動かず、アオリイカが釣れません。
・深場や潮が速いときは、30g以上の重たいエギが必要になります。ロッドにはエギの適合ウェイトが記載されているので、それを確認しましょう。
穂先(ほさき)で選ぶ
ティップランエギングにおいて、ロッドの穂先(ティップ)はアオリイカのアタリを感じ取る最も重要なパーツです。その素材には主にカーボンソリッドとチタンソリッドの2種類があります。ここでは、それぞれの特性・メリット・デメリットを詳しく解説します。
カーボンソリッドティップとは?
■ 特徴
カーボンソリッドは、カーボン繊維をぎゅっと詰めた中実構造の穂先です。しなやかで感度が良く、軽量な素材としてティップランロッドによく使われています。
■ メリット
- 高感度:アオリイカの「触っただけ」のような微細なアタリも伝わる。
- 軽量:ロッド全体のバランスが良くなる。
- 価格が比較的リーズナブル:性能とコストのバランスが取れている。
- 曲がり方がスムーズで違和感が少ない:イカに違和感を与えにくく、抱かせやすい。
■ デメリット
- 強度面ではやや折れやすい:極細設計なため、曲げすぎると破損しやすい。
- チタンソリッドと比べると若干の反応遅れがある:超高感度を求める人には物足りない場合も。
■ 向いている人
- ティップラン初心者〜中級者
- アタリをしっかり視覚と感覚でとりたい人
- 価格を抑えつつ性能も重視したい人
チタンソリッドティップとは?
■ 特徴
チタンソリッドは、チタン合金を中実構造で加工したティップです。金属素材ならではの高反発・超高感度が魅力で、カーボンよりも細かい振動を明確に伝える性能があります。
■ メリット
- 超高感度:軽いアタリも「コンッ」と明確に手元に伝わる。
- 耐久性が高い:金属素材のため、極細でも強くて折れにくい。
- キレのある操作性:シャクリ時の反発力が高く、エギの動きがキビキビする。
■ デメリット
- 価格が高い:高級素材なのでロッド自体も高価になる。
- 硬さを感じやすく慣れが必要:アオリイカに違和感を与える可能性もある。
- 視覚でのアタリの変化はやや少ない:カーボンのような曲がりの「目視」はやや控えめ。
■ 向いている人
- 中級者〜上級者
- 手元感度を最重視する釣りスタイルの人
- ディープエリアや渋い状況でアタリを逃したくない人
特徴 | カーボンソリッド | チタンソリッド |
感度 | ◎(高い) | ◎◎(非常に高い) |
軽さ | ◎(とても軽い) | ○(やや重い) |
操作性 | ○(やわらかめ) | ◎(シャープで反発力強い) |
強度 | △(やや折れやすい) | ◎(非常に高い) |
視認性(曲がり) | ◎(穂先の動きが見やすい) | △(視覚より手感度重視) |
価格帯 | ○(中〜やや高) | ×(高級) |
向いている人 | 初心者〜中級者 | 中級者〜上級者 |
●水深や潮流を考慮してパワー(硬さ)を選択
硬さは、エギの操作やアオリイカのアタリの感じやすさに影響します。
・**L(ライト)〜ML(ミディアムライト)**が一般的です。
・L(ライト):やわらかめで、アタリを感じやすい反面、エギの動きは少し鈍くなります。潮が弱い場所に向いています。
・ML(ミディアムライト):少し硬めで、エギの操作がしやすく、深場や潮が速い場所でも安定。万能型です。
※硬すぎるとアタリを弾いてしまい、柔らかすぎると操作が難しくなるため、釣り場に合わせて選ぶことが大切です。
• 浅場や潮が緩やかな場所:L(ライト)〜ML(ミディアムライト)
• 深場や潮が速い場所:ML〜M(ミディアム)
●ロッドの調子(アクション)

ロッドのどの部分がよく曲がるかという「調子」も重要です。
・先調子(ファーストテーパー)
⇒ 竿の先だけがよく曲がるタイプ。アタリが明確に出やすく、フッキング(合わせ)がしやすい。掛けにいくスタイルの人に向いています。
・胴調子(スローテーパー)
⇒ 竿の真ん中から全体がゆっくり曲がるタイプ。アオリイカが違和感を感じにくく、自然に乗せることができます。じっくり釣りたい人におすすめ。
●ロッドの自重(重さ)
軽さはとても大事なポイントです。
・軽いロッドは手にかかる負担が少なく、長時間釣りをしても疲れにくいです。
・重いロッドは操作がしづらく、アタリの感度も鈍くなりがちです。
・上位モデルになるほど軽量化されていて、操作性も抜群です。
●ガイドの種類と配置
ガイドとは、ライン(糸)を通すリング部分のことです。
・SiCガイドやアルコナイトガイドは、PEラインに優しく、摩耗に強いです。
・安いロッドはガイドが小さかったり、配置が悪かったりして、ライントラブルが起きやすくなります。
・ガイドの数が多い方がラインの負担が分散され、感度も高くなります。
●ティップ素材を理解して選ぶ
感度重視ならソリッドティップ、操作性重視ならチューブラーティップが良いでしょう。初心者にはアタリの出やすいソリッドがおすすめです。
しゃくり方の基本テクニック

●軽めに1〜3回シャクる
ティップランでは「トントン」と軽くシャクリ上げてイカにエギの存在をアピールします。3回までが基本で、それ以上は不自然になることもあるため注意しましょう。
●無理な力は不要
無駄に強くシャクる必要はなく、エギが自然に動くくらいの力加減が大切です。シャクリのあとはしっかり止めて、エギに“間”を与えることが重要です。
ステイの取り方とコツ
●3〜5秒以上しっかり止める
イカはエギの動きに反応して近づいてきますが、実際に抱くのはエギが止まった瞬間です。
そのため、「動かす」と「止める」のメリハリが非常に大事になります。
シャクったあとはロッドを動かさずにしっかりステイ。この時にイカがエギを抱くため、動かさずにアタリを待ちます。
ステイが長すぎると、イカに違和感を与えてしまうこともあるので注意が必要です。
状況に応じて調整する意識を持ちましょう。
●糸フケを取りつつテンションを保つ
風や潮に流されて糸が弛んでしまうとアタリが取れません。糸フケを軽く取って、ラインに少しテンションをかけた状態をキープします。
アタリの取り方の基本
●ティップの“違和感”を見逃さない
ティップランでのアタリは非常に繊細で、以下のような変化で現れます:
• ティップが入り込んだまま戻らない
• ラインがふっと緩む(テンションが抜ける)
• ティップが「コンッ」と跳ね返るような感触
・ティップが「ピクッ」とわずかに動く
このような変化は一瞬なので、集中力を切らさないことが重要です。
●ラインにも注目
ステイ中、ラインが不自然に横に動いたり、急に緩んだりした場合もアタリの可能性があります。風で揺れているだけかも?と思わず、まずは合わせてみるのがポイントです。
合わせ方のコツ
●アタリを感じたら即フッキング!
アタリがあったと感じた瞬間に、手首のスナップを使ってスッと合わせましょう。強すぎる合わせはエギが抜けたり、イカの身が切れてしまうことがあるため、「スッと引っ張る」イメージで行うのがベストです。
●ロッドを引く方向は上方向か斜め上
ロッドを真横に引くのではなく、上方向に引くようにすると、フッキングがしっかり決まりやすくなります。
●タイミングが命!
ティップランの合わせは「ためらわず即」です。迷っている間にイカがエギを離してしまうこともあるので、少しでも違和感を感じたら反射的に合わせるクセをつけましょう。
糸がたるみすぎるとアタリがわかりにくくなります。
張りすぎず緩めすぎず、「ピンッ」と軽く張った状態をキープしましょう。
初心者から上級者まで必見!ティップランロッドおすすめ10選
ここでは、初心者から中級者、上級者向けに分けて、おすすめのティップランロッドを10本ご紹介します。自分に合ったティツプランロッドを探してみましょう。
初心者向けティップランロッド
ダイワ エメラルダス X BOAT 65MLS-IL
全長:6フィート5インチ(約1.96m)
自重:90g
継数:2本
仕舞寸法:102cm
対応エギ:18~70g
先径:1.9mm
エントリーモデルながら、感度と操作性に優れたロッドです。カーボンソリッドティップを搭載し、小さなアタリも見逃しません。VSSリールシート採用で、長時間の使用でも疲れにくい設計です。
シマノ セフィア BB ティップエギング R-S66ML-S
全長:6フィート6インチ(約1.98m)
自重:82g
継数:2本
仕舞寸法:93.7cm
対応エギ:MAX60g
先径:0.9mm
上位機種の技術を取り入れたコストパフォーマンスに優れたモデルです。スパイラルX構造により、ブレのないシャープな操作性を実現。タフテックαの穂先で、繊細なアタリもキャッチします。
バレーヒル レトロベーシック ティップラン RBS-62TR
全長:6フィート2インチ(約1.88m)
自重:99g
継数:2本
仕舞寸法:103cm
対応エギ:35~90g
先径:0.7mm
バットパワーを強化し、大物にも対応可能なロッドです。中弾性カーボンを使用し、エギの安定性を高めています。繊細なカーボンソリッドティップで、アタリを明確に感じ取れます。
メジャークラフト 三代目クロステージ ティップラン CRXJ-S682M/TE
全長:6フィート8インチ(約2.03m)
自重:未公開
継数:2本
仕舞寸法:未公開
対応エギ:MAX80g
先径:未公開
ティップラン専用設計で、一つテンヤやボートアジングにも対応可能なマルチロッドです。シャクリやすい調子で、エギの操作性が高く、繊細なアタリも捉えやすい設計です。
プロマリン アーティライドボートエギング 662ML
全長:6フィート6インチ(約1.98m)
自重:未公開
継数:2本
仕舞寸法:未公開
対応エギ:未公開
先径:未公開
手頃な価格で入手できるエントリーモデルです。ソリッドティップを搭載し、感度良好。バット部分のパワーも十分で、エギの操作性も高いです。
中級者向けティップランロッド
シマノ セフィア SS ティップエギング R-S511ML-S
全長:5フィート11インチ(約1.8m)
自重:80g
継数:2本
仕舞寸法:93.4cm
対応エギ:MAX60g
先径:0.8mm
ハイコストパフォーマンスモデルで、スパイラルXとハイパワーX構造を採用。細身軽量ながら高い強度を持ち、タフテックαの穂先で感度も抜群です。
ダイワ エメラルダス MX BOAT 511MLS-S
全長:5フィート11インチ(約1.8m)
自重:76g
継数:2本
仕舞寸法:94cm
対応エギ:18~70g
先径:0.7mm
柔軟なティップと軽さ、フッキングのしやすさを追求したモデルです。HVFナノプラスカーボンとX45構造により、しなやかでブレないブランクスを実現しています。
メジャークラフト トリプルクロス ティップラン TCX-S682ML/TE
全長:6フィート8インチ(約2.03m)
自重:未公開
継数:2本
仕舞寸法:未公開
対応エギ:MAX60g
先径:未公開
高感度ソリッドティップを搭載し、エギの操作性とアタリの取りやすさを両立したモデルです。クロスフォース製法により、ネジレやつぶれに強い設計です。
上級者向けティップランロッド
シマノ セフィア XR ティップエギング S511ML-S/R
全長:5フィート11インチ(約1.8m)
自重:80g
継数:2本
仕舞寸法:94.2cm
対応エギ:MAX60g
先径:0.9mm
スパイラルXコアとハイパワーX構造を採用し、高強度と高感度を実現したモデルです。タフテックインフィニティの穂先で、繊細なアタリも明確に感じ取れます。
ダイワ エメラルダス AIR BOAT 511MLS-SMT・W
全長:5フィート11インチ(約1.8m)
自重:79g
継数:2本
仕舞寸法:94cm
対応エギ:18~70g
先径:0.7mm
ダイワ製ティップランロッドの最軽量モデルです。SVFナノプラスカーボンとX45構造、Vジョイントαを採用し、軽快な操作性とエギをしっかり跳ね上げるパワーを両立しています。
まとめ:ロッド選び・誘い・アタリ・合わせのすべてがティップランの釣果を左右する!
ティップランエギングは、感度の高い専用ロッドを使い、正確なしゃくりとステイ、そしてわずかなアタリを確実にとらえて合わせる釣りです。すべての動作がつながっており、ひとつでもおろそかにすると釣果に影響します。
今回紹介したことを実践することで、ティップランの成功率は確実に上がります。初心者の方もぜひ、繰り返し練習してアオリイカ釣りの楽しさを味わってください。


